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粉瘤(アテローム)

「背中にしこりがある」「時々赤くなって痛む」「しこりから嫌な臭いがする」
その症状、もしかすると粉瘤(アテローム)かもしれません。
粉瘤は皮膚疾患の中でも非常に一般的ですが、放置すると炎症を起こして激しく痛む場合があります。
粉瘤は放置せず、小さいうちに治療するのが一番です。 急な痛みや腫れがある場合は、まず当院へご相談ください。
摘出手術をご希望の方は、医療法人内の錦糸町皮膚科内科クリニックにてスムーズにご案内いたします。法人内連携により、どちらのクリニックからでも最適なタイミングで治療が受けられる体制を整えています。

粉瘤とは

 粉瘤は、医学的には表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)やアテロームと呼ばれます。これは、皮膚の下に袋状の組織(嚢胞)ができ、本来は剥がれ落ちるはずのアカ(角質)や皮脂などの老廃物がその袋の中に溜まっていく良性腫瘍の一種です。

よく脂肪の塊と表現されますが、実際の中身は脂肪細胞ではなく、濃縮された角質や皮脂です。

粉瘤の特徴・症状とは

  • 発生部位:顔、耳の後ろ、首、背中、脇の下、お尻、鼠径部など、全身のどこにでも発生します。
  • 見た目・症状:皮膚の下にドーム状のしこりとして触れます。最大の特徴は、しこりの中央部にへそ」と呼ばれる黒点(開口部)が見られることです。
  • 大きさの変化:自然に消えることはなく、老廃物が溜まるにつれて徐々に大きくなります。数ミリのものから、放置すると10cmを超える巨大なものまで成長します。
  • 内容物と臭い:強く圧迫すると、中央の穴からドロドロとした白い物質(粥状物質)が出てくることがあります。これは非常に独特で不快な臭いを伴います。

特殊なタイプの粉瘤

1. 外毛根鞘性嚢腫(がいもうこんしょうせいのうしゅ)

主に頭部に発生するタイプです。通常の粉瘤よりも袋(嚢腫壁)が厚く丈夫で、内容物が硬い傾向があります。手術で袋を抜き取りやすいのが特徴です。

2. 多発性毛包嚢腫(たはつせいもうほうのうしゅ)

脇の下、腕、首、胸などに数個〜数十個単位で多発します。遺伝的な要因が関与していることが多く、一つひとつは小さいですが、広範囲に広がるため適切な管理が必要です。

粉瘤と間違いやすい他の疾患とは

 皮膚の下にできるしこりは多岐にわたります。自己判断で潰したり放置したりせず、医師による鑑別診断を受けることが重要です。

疾患名 触った感触 特徴・見た目 痛み・臭い
粉瘤 弾力がある 中央に黒点(へそ)がある。 炎症時は痛む。臭いあり。
脂肪腫 柔らかい 脂肪細胞の塊。粉瘤より深い層。 通常なし。痛みなし。臭いなし。
おでき 硬く腫れる 細菌感染による急激な炎症。 初期から強い痛み。
石灰化上皮腫 石のように硬い 子供の顔や腕に多い。ゴツゴツ。 通常なし。皮膚が青白くなる。
ニキビ 小さく硬い 毛穴の詰まり。白・赤・黒に変化。 炎症時は痛む。
ガングリオン 硬いゴム状 関節の近くにできる。ゼリー状。 圧迫による違和感。

非常に稀ですが、一見粉瘤に見えるしこりの中に軟部肉腫などの悪性腫瘍が隠れていることがあります。「急激に大きくなった」「石のように硬くて動かない」「表面が崩れて出血する」といった場合は、一刻も早い精密検査が必要です。

粉瘤の原因とできやすい人の特徴とは

粉瘤ができる原因は完全には解明されていませんが、不潔にしているからできるわけではありません。以下の要因が関与していると考えられています。

  • 皮膚の潜り込み:何らかのきっかけで皮膚の表面組織(表皮)が真皮(皮膚の深い層)に入り込み、そこで増殖して袋を作ります。
  • 物理的刺激:背中や耳の後ろ、お尻など、衣類や寝具で常に擦れたり圧迫されたりする場所は、毛穴が損傷して粉瘤になりやすいです。
  • 体質的要因:脂性肌の方は皮脂の出口が詰まりやすく、粉瘤が形成されやすい傾向があります。
  • ウイルス感染:手のひらや足の裏にできる粉瘤は、ヒトパピローマウイルス(HPV)が関係していることが分かっています。

粉瘤を放置すると

粉瘤は良性の腫瘍ですが、実は放置することには医学的・審美的なリスクがいくつか伴います。

1. 巨大化による傷跡の拡大

放置するほど袋は大きくなります。1cmのうちに手術をすれば傷跡は数ミリで済みますが、5cmを超えてしまうと切開線も長くなり、術後の傷跡が目立ってしまいます。

2. 炎症性粉瘤の発生

袋の中に細菌が入り込んだり、袋が皮膚の下で破れたりすると、急激に赤く腫れ上がります。これを炎症性粉瘤と言い、座ることもできないほどの激痛を伴います。この状態になるとすぐに袋を摘出することができず、まずは皮膚を切って膿を出すだけの応急処置(切開排膿)が必要になり、完治まで2段階の手順(期間の長期化)を踏むことになります。

3. 強い不快臭と漏れ出し

溜まった老廃物が腐敗し、衣類に臭いが移ったり、大切な場面で中身が漏れ出したりといったQOL(生活の質)の低下を招きます。

4. 稀な悪性化

長期間放置された粉瘤の組織が、極めて稀に有棘細胞がんという皮膚がんに変化した例が報告されています。

5. 周囲の組織との「癒着(ゆちゃく)」

軽度の炎症を繰り返して放置していると、粉瘤の袋とその周りの正常な組織が、カサブタのようにくっついて(癒着して)しまいます。癒着が強いと、手術で袋を剥がすのが困難になります。手術時間が長引くだけでなく、袋が破れやすくなるため再発率が高まる原因にもなります。

粉瘤の治療とは

粉瘤は薬で溶かしたり、自然に吸収されたりすることはありません。根本から治すには、原因である袋を外科的に取り除く必要があります。
粉瘤は放置せず、小さいうちに治療するのが一番です。 急な痛みや腫れがある場合は、まず当院へご相談ください。
摘出手術をご希望の方は、医療法人内の錦糸町皮膚科内科クリニックにてスムーズにご案内いたします。

炎症がある場合(緊急処置)

赤く腫れている時は、すぐに袋を取ることができません。

  • 切開排膿:まずは局所麻酔をして数ミリ切開し、溜まった膿を出します。これにより痛みはすぐに和らぎます。
  • 後日の根治手術:炎症が完全に治まり、袋が再形成された1〜3ヶ月後に改めて全摘出手術を行います。これが最も再発を防ぐ確実なステップです。

炎症がない場合(手術)

医療法人内の錦糸町皮膚科内科クリニックにて手術を行います。
手術は局所麻酔を使用します。注射の瞬間にチクッとする痛みはありますが、手術中は無痛です。

① くりぬき法(パンチ法)

炎症が起きていない、比較的小さな粉瘤に対して行います。専用の円筒状メス(パンチ)で小さな穴を開け、そこから内容物を絞り出した後に袋を抜き取る最新の手法です。
切開範囲が非常に小さいため、縫合が不要な場合もあり、傷跡が非常に小さく、手術時間も短く済みます。

② 紡錘形切除法(切除縫合法)

粉瘤の周囲をラグビーボール状に切開し、袋を丸ごと取り出す確実な方法です。
巨大な粉瘤や、過去に炎症を起こして癒着が強い場合でも、再発率を下げることが可能です。
医療法人内の錦糸町皮膚科内科クリニックでは真皮縫合(しんぴほうごう)という、皮膚の深い層を溶ける糸で縫う技術を用います。これにより皮膚表面の張力が分散され、時間が経っても傷跡が広がらず、白い一本の線のように綺麗に治ります。

粉瘤の手術後の経過と通院スケジュールについて

 日帰り手術ですので、日常生活への影響は最小限です。

  • 手術当日:局所麻酔(15〜30分程度)で行います。帰宅後は飲酒・激しい運動・長風呂を避けてください。
  • 翌日:診察にて傷の状態を確認します。問題なければ、この日からシャワーで患部を洗うことが可能です。
  • 7〜10日後:抜糸を行います。傷跡が赤く盛り上がる「肥厚性瘢痕」を防ぐため、抜糸後3〜6ヶ月は専用の茶色いテープでの保護を推奨しています。

粉瘤の手術費用とは

 粉瘤の治療は保険適用となります。3割負担の場合の概算です。

部位 しこりの大きさ 手術料の目安(3割負担)
露出部(顔、首、手足など) 2cm未満 / 2〜4cm / 4cm以上 約5,000円〜13,000円
非露出部(背中、お腹など) 3cm未満 / 3〜6cm / 6cm以上 約4,000円〜12,000円

※別途、初診・再診料、採血代、お薬代、病理検査費用が必要になります。

粉瘤の予防法と注意点とは

粉瘤は体質や皮膚の構造的な問題で発生するため、100%防ぐことはできませんが、リスクを減らすことは可能です。

1. 皮膚を清潔に保ち、ターンオーバーを整える

粉瘤は、毛穴の一部が内側に袋状に入り込み、そこに垢(角質)が溜まることで発生します。

  • スキンケア:毎日入浴し、石鹸をしっかり泡立てて優しく洗い、皮膚のターンオーバーを正常に保つことが基本です。
  • ゴシゴシ洗わない:強くこすりすぎると皮膚に微細な傷がつき、それがきっかけで粉瘤の袋が形成されるという説もあります。清潔にするが、刺激は与えないのがコツです。

2. 外部刺激(摩擦・圧迫)を避ける

粉瘤は、特定の場所が常に圧迫されたり、摩擦を受けたりする部位にできやすい傾向があります。

  • 衣類選び:ベルトで強く締めるウエスト周りや、下着の摩擦が強い鼠径部などは注意が必要です。
  • 同じ姿勢を避ける:お尻に粉瘤ができやすい人は、長時間のデスクワークなどで同じ場所を圧迫し続けている可能性があります。クッションを利用するなどの工夫が有効です。

3. ニキビや小さな傷を放置・いじらない

ニキビや毛包炎(毛穴の炎症)を無理に潰したり、自分で針を刺して膿を出そうとしたりすると、その刺激で皮膚の表皮細胞が皮下に潜り込み、粉瘤に発展することがあります。

4. ウイルス感染を防ぐ(足の裏などの場合)

足の裏や手のひらにできる粉瘤の一部は、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因で起こることがあります。公共の施設のバスマットなどから感染する可能性があるため、足を清潔に保ち、乾燥させておくことが大切です。

5. 喫煙を控える

統計的に喫煙者は粉瘤ができやすいというデータがあります。タバコに含まれる成分が、毛穴の出口を詰まりやすくさせたり、血流を悪くして炎症を悪化させたりするためと考えられています。

粉瘤そのものを防ぐのは難しくても、粉瘤を巨大化させない・悪化させない予防は可能です。

入浴時に自分の体を触り、小さな「しこり」がないか確認する習慣をつけましょう。また、その小さなしこりの中央に黒い点(開口部)があれば、それは高い確率で粉瘤です。

できてしまったら育つ前に切除する。これが、傷跡を最も小さくし、痛みから解放されるための最高のリスク管理と言えます。

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